About Roof
意外と知らない屋根のウンチク
屋根の家 <手塚貴晴+手塚由比>
屋上と屋根の上は似ているが、明らかに違う。なぜなら、屋上には用途があり、生活の場であるが、屋根の上は生活をする場ではなく、非日常的な場だ。以前住んでいた建売住宅の狭い屋根の上を頻繁に利用していた家族が、見晴らしのいい場所に新しく家を建てるにあたり、建築家に「屋根の上でご飯を食べたい」と要望した。平屋の屋根には開閉自由な8つの天窓が開けられ、梯子を掛ければ、自由に屋根の上にあがれる。屋根の上にはテーブルと椅子、それとなぜかシャワーまである。緩やかに傾斜した屋根の上は、まさにアナザーワールドであり、自分たちの生活を客観視できる場所でもある。
もうひとつのリビング
山に囲まれた盆地を見下ろせる高台。90坪の敷地に、床面積が29坪の平屋が建ち、42坪の面積を持つ(木製デッキの)大屋根が架かけられている。屋根の上は室内よりも広く、間仕切りも壁も天井もない、屋根の上の開放感は言葉で表現するのは難しいが、多分地上の世界というよりも、天空の世界を体験してしまったような不思議な開放感だ。T夫妻は、初めて訪ねて来られたお客さんにお茶を出す前に、屋根の上に案内する。それは最高のおもてなしであり、屋根の上で飲むお茶はまた格別だ。
屋根の下も昔の民家のように開放的
「屋根の上の生活は、あくまでも屋根の下の生活の投影でしかない」と建築家の手塚さんたちは言う。屋根の下には、昔の民家のような、開放的な住まいがある。空間を仕切っている木製の建具を開け放てば、ガランとした巨大なワンルームになる。プランは、南側にある広いリビングを囲むように、子供室、勉強室、主寝室、納戸、浴室、台所がL字型に配置されている。そして、屋根の上のリビングもL字型の壁で囲まれている。これは、隣近所への配慮で目隠しになり、また風除けにもなる。屋根の上のリビングは、360度パノラマの風景と天空を独り占めできる。
設計:建築家 手塚貴晴+手塚由比
「屋根の上でご飯を食べたいと希望したのは建主であって、われわれが提案したのではない。でも、実際に屋根の上は気持ちよく、冬でも日が照れば暖かい。屋根の下では、毎日姉妹がどちらが天窓の下で星空を眺めながら寝るのかを争い、天窓から落ちる日だまりを追って、家族が移動します。」

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